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派遣スタッフの受け入れを開始する時に気になるのが、派遣スタッフの管理です。
派遣先企業と派遣会社がそれぞれ責任を分担します。

派遣スタッフを受け入れたのに、きちんとした管理体制が整っておらず派遣スタッフに思い通り業務してもらえないのは避けたい事でしょう。
派遣先企業が管理すべき項目をしっかり押さえ、適切に派遣スタッフを管理しましょう。

この記事では、派遣先企業が特に管理すべきことを5つ、そして重要な派遣先管理台帳についてご紹介します。

派遣先管理台帳についての詳細は、下記記事も合わせてご覧ください。
>>派遣先管理台帳とは|記載内容や記入例、通知・保管方法をご紹介

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1. 派遣先企業・派遣会社が管理するべきこと

派遣スタッフとの契約を開始する際に、派遣先企業と派遣会社がそれぞれ管理すべき項目があります。
なお、「管理」というと様々な考え方がありますが、当記事では”派遣スタッフが業務を遂行する上で管理するべきこと”と定義します。

派遣先企業と派遣会社が管理する項目

以下、簡単に箇条書きにしたので見てみましょう。

【派遣先企業】
業務の指示、職場環境の整備、出退勤時間の管理 等
【派遣会社】
給与の支給、有給休暇の付与、健康診断の受診管理 等

派遣先企業は業務の現場として、派遣会社は雇用主として派遣スタッフを管理する必要があります。

▼”派遣先の義務”について知りたい方はこちら
>>派遣先企業が押さえておきたい義務|時系列で確認

2. 派遣社員の管理に必要な5項目

では、派遣スタッフを受け入れる際に派遣先企業がするべき管理を5つピックアップして詳しくご説明します。

派遣社員の管理に必要な5項目
派遣スタッフへの指示・指導
就業環境の整備
派遣スタッフの健康管理
勤怠の管理
苦情発生時の対応

2:1. 派遣スタッフへの指示・指導

派遣スタッフの雇用主はあくまで派遣会社ですが、具体的な業務に関する指示・指導をするのは派遣先企業です。
必要に応じて入社時研修などを組み、派遣スタッフがすぐに仕事に取り掛かれるよう準備しておきましょう。事前のマニュアル作成もかかせません。

また、業務開始後にも派遣スタッフからの質問に受け答えしたり、指示をする指揮命令者を決めておきましょう。

Check!
派遣スタッフが多い派遣先では、派遣スタッフの中からリーダーを選出する場合があります。リーダーという存在を決めることで、一人一人の派遣スタッフから出る様々な意見を取りまとめたり、相談役を担ってもらえます。そうすることで派遣先は、よりスムーズで効率的に業務が遂行できます。

2:2. 就業環境の整備

エン派遣が派遣スタッフに行った調査によると、派遣先の職場で気になることの第1位は「配属部署の雰囲気」でした。
それだけ、就業環境というものは働く人にとって重要なのです。

派遣先で気になる事

引用元:>>教えてエン派遣「派遣先について」

就業環境の整備とは、例えば派遣スタッフが業務を行える十分な作業スペースや、ロッカー、着替えが必要な職場なら着替え室など、業務に必要不可欠なスペースを確保することです。

また、社員が利用するようなカフェルーム、食堂、トイレといった各設備もきちんと整え、派遣スタッフが快適にオフィス空間を利用出来るように便宜をはかりましょう。

そして環境には一緒に働く社員も含まれます。
派遣スタッフが溶け込みやすいよう事前に周知徹底したり、積極的に派遣スタッフへの声かけを促すようにしましょう。

2:3. 派遣スタッフの健康管理

派遣先企業は、派遣スタッフの健康管理(労働時間、危険防止等)にも気をつけましょう。
例えば、社員と同様の休憩時間を派遣スタッフにも与えるといった基本的な勤怠管理はもちろん、業務スペースにおける環境で、暑い・寒いといったことが無いよう適切な温度調節を行うのもひとつです。

他にも、契約条件と異なるような危険業務の遂行、健康に害を及ぼすような材料を扱わせるといった行為も指示してはいけません。

Check!年1回の「定期健康診断」は、雇用元である派遣会社が実施する義務があります。

2:4. 勤怠の管理

派遣スタッフの始業・終業時刻、休憩時間などの管理で、勤務状況の確認をすることです。通常、派遣スタッフの有給休暇や急な体調不良による欠勤等は派遣会社が主導となって管理しますが、日々の出退勤管理は現場である派遣先企業が注視すべきこととなります。

なお1か月に1回以上、派遣スタッフの始業・終業時刻、休憩時間などは派遣会社に通知する必要があります。日頃からきちんと記録しておきましょう。

記録をするためのツールに特に決まりはなく、企業や業務内容に応じて適宜やり方を選択するとよいでしょう。
いくつか例を挙げます。

派遣スタッフの勤怠管理方法の例
・所定の用紙に派遣スタッフに手書きで記入させる。派遣先担当者確認の上サイン。
・管理ツールを導入し、パソコン上から派遣スタッフ自ら入力させる。
※入力項目「社員番号、氏名、始業・就業時刻、休憩時間」
Check!
最近ではクラウドで派遣社員が自ら入力、申請する方法が増えていますが、申請内容に誤りが無いか随時チェックしましょう。
勤務状況と申請内容の一致のほか、契約外時間に就業していないかも確認しましょう。なお、クラウドシステムを導入する場合には、派遣会社と派遣先企業がともに同じシステム(もしくは派遣会社指定のものがあれば)であることが望ましいでしょう。
より効率的に勤怠管理が行えます。

2:5. 苦情発生時の対応

派遣先企業と派遣会社は、それぞれ派遣スタッフからの苦情を引き受ける担当者を定める必要があります。
これは、指揮命令者以外の人物に任せるのが良いでしょう。

派遣先企業は派遣スタッフからの苦情を受けたら、派遣会社へ連絡をして苦情の処理を行いましょう。

内容の詳細確認や、改善を図るための施策が求められます。
なお、苦情を申し出た派遣スタッフは契約上の問題がない限りは、派遣契約の早期打ち切り・更新無しといった結果にしないよう注意しましょう。

▼”派遣先の義務”について知りたい方はこちら
>>派遣先企業が押さえておきたい義務|時系列で確認

3. 勤怠管理をするときの注意点

管理する項目で勤怠について触れましたが、この章では勤怠管理についてより深く注意点などをご紹介します。
派遣先企業が管理する項目において、特に注意が必要な事項となります。

勤怠管理をするときの注意点
正確な出社・退社時刻を把握する
管理者は勤務を管理しなければならない
勤怠管理の方法に誤りがないかのチェック

3:1. 正確な出社・退社時刻を把握する

派遣スタッフの勤怠管理において、きちんと正確な出社・退社時刻を把握するようにしましょう。
正社員であっても派遣スタッフであっても、基本的にどちらも正確な情報を把握することが大切です。

なお、基本的には1分単位で正確に把握しましょう。派遣会社によってはタイムカードが5分刻みの場合もあるので、事前に派遣会社から勤怠管理方法を伺いましょう。
また、時間外労働やサービス残業といった契約以外の労働をさせないようにも注意しましょう。

3:2. 管理者は勤務を管理しなければならない

基本的に勤怠は自己申告です。この自己申告の情報が正しいものなのかを、派遣先の管理者は注意する必要があります。

場合によっては、サービス残業を隠していたり、残業を水増しして申告しているケースもあります。
そのため管理者は、現場でも実際にどの程度働いているのかを管理することが求められるでしょう。

派遣スタッフからの自己申告をそのまま鵜呑みにするのではなく、実際の勤務状況との一致・不一致をきちんと管理しましょう。

3:3. 勤怠管理の方法に誤りがないかのチェック

勤怠管理の方法はその会社によりさまざまです。
派遣スタッフの場合、雇用元である派遣会社のルールがあるケースもあるため、正社員とは管理方法・承認フロー等が異なり戸惑うこともあるかもしれません。

派遣スタッフが誤った入力や申請をしていないかは常にチェックするようにしましょう。

4. 派遣会社と締結する労働者派遣契約

派遣会社と契約を開始する際に、企業と派遣会社の間で「労働者派遣契約」を結びます。
一体どのような内容を結ぶのか項目を見てみましょう。契約内容を網羅しておくことで、管理すべき点への理解も深まります。

「労働者派遣契約」では次の事項を定めます。
(※以下、派遣法第26条より引用)

No 事項内容
No.1 派遣労働者が従事する業務の内容
No.2 派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
No.3 派遣先の事業所の名称、所在地、部署、電話番号、および組織単位(「組織の長の職名」明記だと尚望ましい)
No.4 指揮命令者の部署、役職、氏名
No.5 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
No.6 派遣就業の開始、終了の時刻及び休憩時間
No.7 安全及び衛生に関する事項
No.8 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
No.9 派遣スタッフの新たな就業の機会の確保、派遣スタッフに対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用負担に関する措置その他労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
No.10 派遣契約が紹介予定派遣である場合は、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条件その他の当該紹介予定派遣に関する事項
No.11 派遣元および派遣先責任者の役職、氏名および連絡方法(電話番号)
No.12 時間外労働および休日労働に関する事項
No.13 派遣労働者の福祉の増進のための便宜を供与する旨の定めをした場合には、当該便宜の供与に関する事項
No.14 派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
No.15 派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別
No.16 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限定するか否かの別
No.17 派遣受入期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項
No.18 派遣労働者の人数
No.19 派遣元の労働者派遣事業許可番号
Check!
派遣会社と派遣先企業は、派遣法第26条に基づいて個別の派遣就業条件に関する事項を具体的に定める必要があるほか、それを書面に記載して残しておかなければなりません。

5. 派遣先管理台帳の管理

派遣スタッフを管理する上で、もう一つとても重要なことがあります。
それは、派遣スタッフの受入事業所ごとに「派遣先管理台帳」を作成することです。

下記項目を、派遣会社へ通知する必要があります。
また、派遣先管理台帳は受け入れる派遣スタッフごとに作成し、派遣契約終了した日から3年間保存する義務もあるので覚えておきましょう。

派遣先管理台帳の項目
派遣労働者の氏名
派遣労働者が60歳以上の者であるか否か
派遣元事業主・事業所の名称
派遣元事業主の事業所の所在地
業務の内容
無期雇用か有期雇用か
派遣先の事業所の名称、就業場所及び組織単位、所在地
派遣元責任者・派遣先責任者
就業状況(就業日・勤務時間・休憩時間・休日など)
社会・労働保険の有無
教育訓練の実施日時・内容
紹介予定派遣の場合はその旨について

通知の方法
一定の期日を決めて1カ月に1回以上、派遣スタッフごとに通知事項に係る項目を書面、電子メール、ファクシミリ等で通知します。

派遣先企業が実施する派遣スタッフの管理項目は、就業環境や勤怠状況など、実際に業務を行う場でしか確認できないことばかりです。
そして、業務指示をするのは派遣先企業なので、きちんと体制を整え、業務を遂行するのに滞りがないよう環境を維持する仕組みを作る必要があります。

快適に業務を遂行する体制構築は、結果として業務効率の向上にもつながります。
派遣スタッフの就業中はもちろん、就業前からも予め管理項目をチェックし、スムーズに業務が出来るように整えておきましょう。

6. まとめ

この記事では、派遣先企業が管理すべき事項についてご紹介しました。
派遣スタッフを受け入れる際、これらの漏れがないようきちんと管理するようにしましょう。

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