これから派遣社員を採用していきたいと考えている企業担当者の方、もしくはすでに派遣社員を雇用している方も多くいらっしゃるかと思います。
派遣社員は採用の手間・コストが軽減できるほか、即戦力となる人材を雇うことが出来るなどメリットがたくさんあります。

ただ、派遣社員を受け入れるためには、派遣労働法という法律のもと様々な取り決めがあることをご存じでしょうか。

この記事では、派遣社員を依頼する際に押さえておくべき注意点、派遣の基礎知識、メリット・デメリットなどをご紹介します。

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1. 派遣を依頼する際の注意点

まず最初に、派遣を依頼する際に知っておきたい注意点11項目をご紹介します。
以下11個のチェック項目を確認し、派遣に対する理解度を確認してみましょう。

あなたはいくつチェックが付けられるでしょうか。

チェック項目 チェック
派遣の「3年ルール」を理解している
派遣社員への事前面接は行わない
派遣禁止業務に該当しない
派遣契約に定めるべき事項は網羅している
労働契約申し込みみなし制度を理解している
派遣元は労働者派遣事業の許可を得ている
社会・労働保険への加入が確認できている
派遣先責任者の選任を行っている
派遣先管理台帳を作成済みである
離職して1年以内の人ではない
派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇に対する配慮義務を理解している

いかがでしたでしょうか。
以下、人事担当者が疑問を抱きやすい文言を6つピックアップしてご説明しています。

分からないものがあったという方は、これを読んでしっかりと理解を深めましょう。

1:1. 派遣の3年ルールとは

派遣の期間制限

引用元:>>厚生労働省HP「派遣社員を受け入れるときの主なポイント」

2015年の法改正以降、原則として派遣社員は同じ企業で3年以上働くことができなくなっています。これは派遣社員の待遇改善を目的に決められたルールで、以下の措置が派遣元(派遣会社)へ求められます。

雇用安定措置
1. 派遣先への直接雇用の依頼
2. 新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)
3. 派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用
4. その他安定した雇用の継続を図るための措置
引用元:>>厚生労働省HP「派遣で働く皆さまへ」

1年以上3年未満の雇用は努力義務となっており、もしも派遣先企業が直接雇用を拒否した場合、派遣元(派遣会社)が2~4を講じる必要があります。

なお、すべての人に3年ルールが適用されるのではなく、下記は期間制限の対象外です。

3年ルールの対象外
60歳以上の派遣労働者
派遣元事業主で無期雇用されている派遣労働者
有期プロジェクト業務
日数限定業務(※)
産前産後休業、育児休業・介護休業などを取得する労働者の業務
※1カ月間に行われる日数が通常の労働者に比べ相当程度少なく、かつ、月10日以下であるもの
引用元:>>厚生労働省HP「派遣社員を受け入れるときの主なポイント」

また、同じ派遣先でも業務内容が異なる部署へ異動すればまた3年間働くことも可能です。

1:2. 派遣禁止業務とは

労働者派遣法によって派遣できない業務が定められています。
具体的には以下の業務です。

業務名 詳細
港湾運送業務 主に対象となるのは、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門の6大港、及びその他指定された港湾
建築業務 事務員やCADオペレーター、施行管理業務などの直接業務以外のものは派遣可能
警備業務 駐車場やスーパー、ボディーガードなどの警備業務
医療業務 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師などの医療従事者
士業 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、建築士事務所の管理建築士など

1:3. 労働契約申し込みみなし制度とは

違法派遣と認識しながらも、派遣先が派遣社員を受け入れると直接雇用を申し込んだものとみなされる制度のことです。
なお、違法派遣と知らずに雇っていた場合、この制度は適用されません。

違法派遣の内容
  • 3年ルールを違反した派遣受入
  • 偽装請負
  • 派遣就業が禁止されている業務の派遣の受け入れ(※)
  • 派遣免許を持っていない事業者からの派遣受入
  • ※港湾運送業務や建設業務、警備業務

1:4. 派遣先責任者とは

派遣社員が安心して働けるように管理するスタッフのことです。
派遣社員100名につき1名、派遣先から責任者を任命する必要があります。
なお、派遣社員と直接労働者を合わせた人数が5名以下の場合、任命しなくても問題ありません。

派遣先責任者の主な役割
  • 派遣元との連絡調整
  • 派遣社員のクレーム処理
  • 派遣先管理台帳の管理

1:5. 派遣先管理台帳とは

派遣社員がきちんと働けているかチェックする時に利用します。
派遣先には、台帳の作成・記載・保存・記載内容の報告が義務とされています。
以下、派遣先管理台帳の項目です。

【派遣先管理台帳の項目】
●派遣労働者の氏名
●派遣労働者が60歳以上の者であるか否か
●派遣元事業主・事業所の名称
●派遣元事業主の事業所の所在地
●業務の内容
●無期雇用か有期雇用か
●派遣先の事業所の名称、就業場所及び組織単位、所在地
●派遣元責任者・派遣先責任者
●就業状況(就業日・勤務時間・休憩時間・休日など)
●社会・労働保険の有無
●教育訓練の実施日時・内容
●紹介予定派遣の場合はその旨について
Check!
派遣先管理台帳は、派遣終了日~3年間保存することが義務とされています。もし作成・通知・保存していない場合、30万円以下の罰金が科せられてしまいます。

1:6. 派遣社員と派遣先社員の均衡待遇とは

派遣社員と派遣先の社員における待遇を等しく保つことは、派遣先の配慮義務です。
具体的には「賃金」「福利厚生施設」「教育訓練」に関する措置が求められます。

派遣社員に対する3つの均衡待遇
賃金
派遣元には、業界の平均賃金を勘案し、派遣社員と従業員における賃金のバランスを保つ必要があります。派遣先にも、派遣先の給与水準・求人条件といった情報を派遣元に提供することが求められます。

福利厚生施設
例えば、派遣先の休憩室や食堂、更衣室などの福利厚生施設を派遣社員も従業員と同様に利用できるよう手配する必要があります。

教育訓練
業務に関する教育訓練を行う場合、派遣元からの要請によっては派遣社員も受けられるよう配慮することが求められます。ただし、派遣元でも訓練が出来るケースや訓練費用がかさんでしまうケースにおいては、この限りではありません。

派遣先企業は派遣社員がより仕事に注力できるよう、従業員と同じ扱いをするよう心がけることが大切なのです。

以上、人事担当者が主に疑問に思う部分を6つピックアップしてご紹介しました。

1. そもそも派遣とは

派遣を依頼する際の注意点を確認したところで、「もう一度派遣の仕組みについて詳しく知りたい」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

続いては、派遣の理解をより深めて頂くために派遣の基礎知識、3つの派遣スタイル、直接雇用との違いをご紹介します。

2:1. 派遣の基礎知識

人材派遣のしくみ

派遣とは、派遣会社から紹介された人材を雇う雇用形態です。
派遣先企業では業務に関する指揮命令を行いますが、給与支払い・社会保険や福利厚生の提供などは人材派遣会社がおこないます。

なお、2015年に改正された労働者派遣法(「一般財社団法人 日本人材派遣協会」HP )により、派遣社員は同一の派遣先で働く上限が3年と期間が定められています。

Check!例外として、上限3年が当てはまらないケースもあります。詳しくはこちらをチェック>>>派遣の3年ルールとは

2:2. 派遣スタイル

派遣は「一般派遣」「無期雇用派遣」「紹介予定派遣」と3つのスタイルに分かれています。

2:2:1. 一般派遣

派遣会社へ登録している人材から派遣先企業の条件に合う人を人選し、派遣先が決定したら派遣会社と派遣社員の間で雇用契約を結びます。
1人が同一企業で働ける上限期間は3年で、派遣期間の終了と同時に契約満了となります。契約を結んでいない期間は給料は支払われません。

2:2:2. 無期雇用派遣

派遣先との契約がなくても、派遣会社と派遣社員の間で雇用契約が発生しており、派遣会社から給料が支払われます。派遣会社と常に雇用関係にあるため派遣されていなくても収入が発生しています。
また一般派遣と異なり、派遣先企業は気に入った人材がいれば期間を定めず同じ職場で働いてもらうことができます。

2:2:3. 紹介予定派遣

直接雇用を前提とするスタイルです。一定期間(最長6ヶ月)就業してもらい、派遣先企業・派遣社員の双方合意があれば、派遣先の正社員として登用できます。
派遣社員のスキルや人柄を直接見れるためミスマッチも少なく、正社員を前提に長期就業できる社員を採用したい場合におすすめです。

2:3. 直接雇用との違い

直接雇用とは、働く企業と求職者が直接に雇用契約を結ぶ形態です。正社員だけでなく、契約社員・アルバイト・パートなどさまざまな雇用形態があります。

正社員であれば、フルタイム勤務で労働契約に期間の定めがない場合がほとんどです。一方、契約社員は期間が定められており、契約を随時更新する形となります。
直接雇用に対して、派遣社員を雇用する場合は「間接雇用」という呼び方がされます。

3. 派遣を依頼することのメリット

次の章では、派遣を依頼することのメリット・デメリットについてそれぞれご紹介していきます。
まずはメリットです。

派遣を依頼するメリット
期限付きの雇用ができる
コストが削減できる

3:1. 期限付きの雇用ができる

有期雇用のため、突発的・短期的な業務への対応が可能となります。
「急に人手が必要になった」「繁忙期だけ一次的に雇いたい」といったニーズに応えられるでしょう。また、契約の期間が限られていることから業務の効率性にもつながります。

3:2. コストが削減できる

各種保険関連(雇用保険、健康保険、社会保険)や労務(給与計算)は派遣会社が対応します。そのため派遣先企業は、上記の責務を追う必要がありません。
正社員を雇うよりも随時不足している業務に派遣を入れる方が、業務コストや必要経費の削減にもつながるのです。

こんな時こそ派遣|利用シーンの一例
・「正社員の産休・育休明けの期間まで雇いたい」
・「プロジェクトで忙しくなる期間だけ人を増やしたい」
・「新規事業部門で即戦力になる人が欲しい」
・「募集や研修にかけられる時間・費用がない」

4. 派遣を依頼することのデメリット

続いてデメリットです。

派遣を依頼するデメリット
一定の育成期間が必要
重要な仕事を任せづらい

4:1. 一定の育成期間が必要

派遣会社で基本的な研修はしてくれるものの、派遣社員が実務に慣れるまでは当然指導や研修をする必要があります。
また、派遣は上限3年と決められているため、定期的に派遣社員の入れ替わりが発生することも念頭に置いておく必要があります。

4:2. 重要な仕事を任せづらい

派遣社員は前述のとおり就業期間に定めがあるので、いわゆるコア業務には向かないでしょう。
派遣社員に任せる仕事は、派遣期間終了後も考えて設定することが重要です。基本的には社外のリソースであることを忘れないようにしつつ、契約期間中は社員と同様に扱うようにしましょう。

こんなケースに注意

自社にノウハウが蓄積されていないプロジェクトを進めるにあたり、優秀な派遣社員にその重要なポジションを任せる場合、その社員でないと業務内容がわからないといった事態となるのは避けましょう。

派遣社員には、契約期間中にあらかじめマニュアル作成などを指示し、属人化してしまわないよう注意しましょう。

5. 派遣社員を募集する流れ

続いて、実際派遣社員を募集するとなった時の流れをご説明します。

STEP1. 派遣社員の就業条件を定める

契約期間や業務内容、賃金などをまずは決める必要があります。
また条件面だけではなく、向いていそうな人柄といったソフト面も決めておくと、よりミスマッチが防げます。

STEP2. 派遣会社の選定

派遣会社の選定も重要なポイントです。
これまでの実績や拠点、対応職種、派遣会社のカラーまで、しっかり見極めしっくりくる会社を選びましょう。

STEP3. 派遣会社に依頼

派遣会社を選定したら、実際派遣会社に依頼します。
窓口の営業担当に、募集の背景や就業条件、業務内容、希望する人材像など詳細を伝えましょう。
可能であれば来社してもらい打ち合わせをすると、派遣会社もよりあなたの企業への理解度が深まるのでおすすめです。

STEP4. マッチング

派遣会社のほうでスキルや就業時間など条件に合った派遣スタッフを選定し、紹介します。
派遣会社の営業担当とともに派遣社員が来社し、顔合わせ(職場見学、スキル確認)をおこなうことが多いです。

Check!
労働者派遣法により、派遣スタッフを履歴書や面接で選考することは禁止されています。

STEP5. 派遣契約後、受け入れスタート

派遣スタッフが決定したら、派遣会社と契約を締結します。

Check!
派遣社員の受け入れ前にしておくこと
・就業期間や担当業務を社内周知
・入退出時の管理システム、社内PCの設定
・業務マニュアルや備品等の整備

6. 派遣社員をうまく活用するポイント

派遣社員の方により良いパフォーマンスを発揮してもらうためにも、派遣先は気持ち良く働ける環境づくりに努めることが大切です。続いて、派遣社員をうまく活用するためのポイントを3つご紹介していきます。

6:1. 正規雇用の社員と区別しない

派遣社員でも正規社員と同等に扱うことが大切です。
派遣社員は自社の社員ではないため、もしかすると帰属意識も高くなく働き方の違いに戸惑いを感じるかもしれません。

しかし、だからといってミーティングに参加させなかったり、軽んじる発言・行動を示すと、本人のモチベーション低下につながってしまいます。

派遣社員は、自社の仕事をカバーしてくれるとても重要な存在です。正社員と同等の対応を心掛け、お互い常に情報共有できる環境づくりをしておきましょう。

Check!
職場に馴染んでもらうためには、初日が肝心です。自己紹介の時間を設けたり、一緒に働く仲間とのランチ会を設定するのも有効でしょう。

6:2. あらかじめ仕事の範囲を明確に定める

仕事の範囲を明確に定めましょう。どこまで仕事を任せて良いかわからないと、派遣社員にも役割が不明確なことが伝わってしまい働く意欲を低下させてしまうでしょう。

また人によっては、簡単な作業ばかりだとやりがいを感じられないと思ってしまったり、実力以上のものを任せると不満を感じさせてしまうこともあります。
その人の能力・キャパシティをきちんと見極め、それに合った仕事を振るようにしましょう。

6:3.たまに勉強会の時間を設ける

長期契約の場合は、スキルアップに繋がりそうな勉強会の機会を作ることも重要です。自社の新人研修や中途入社研修、資格取得のための勉強会に参加してもらうのも良いでしょう。

派遣先で行われる任意参加型研修の費用を一部負担し、正社員と同等のスキルを習得してもらうのも一つです。

7. まとめ

派遣社員は、きちんとその仕組みを理解し効果的に活用すれば、企業にとってかけがえのない即戦力となります。

派遣社員に関する正しい知識を身につけ、安心して働ける環境づくりをすることで、派遣社員の能力を最大限引き出しましょう。


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