ここ数年、派遣法改正にまつわる動きが加速しているのはご存じでしょうか。
「同一労働同一賃金」の実現のため、2020年に法改正が行われたのは記憶に新しいですが、2021年にも1月・4月と改正がなされます。

これは派遣に関して今まで曖昧だった、派遣スタッフの教育訓練やその説明義務、雇用安定措置のための情報聴取等が含まれます。
見落とすと企業側としても違法となってしまう事項があるので注意が必要です。

この記事では、2021年のほかにも2020年・2015年と歴史を遡り派遣法改正の内容を紹介します。
企業に求められる対応もご紹介しているので、派遣の適正運用が出来ているかをしっかり見直す機会にしましょう。


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>>先に派遣法改正|2021年1月の内容を見る
>>先に派遣法改正|2021年4月の内容を見る

1. 派遣法とは

派遣法(労働者派遣法)は1986年に初めて制定されて以降改正を行いながら、派遣スタッフの権利を保護するの同時に、労働者派遣事業における適切運用を確保するために運用されてきました。

派遣スタッフは正規社員と比較して低コストであるほか、必要な時・期間にスピーディーに雇用出来ることから、幅広い企業で起用されています。

しかし一方で、派遣スタッフの雇用・労働環境における格差はたびたび問題とされてきました。
派遣法はそうした背景を受けて、派遣スタッフの賃金や待遇・福利厚生・キャリアアップなどに纏わる様々な義務(配慮義務、努力義務含む)を定め、派遣スタッフの権利保護を実現するために制定されたのです。

2021年には、1月と4月の2回にわけて法改正が発表されました。
以下その内容を見ていきましょう。

>>派遣法改正|2021年1月の内容を見る
>>派遣法改正|2021年4月の内容を見る

2. 派遣法改正|2021年施行

派遣法を運用するにあたって、過去に何回も改正がされ続けています。
派遣法は時代情勢や実際の労働環境の問題などを調査し、改善が重ねられ続けるものであるので、常に最新の情報をキャッチアップしておく必要があります。

そしてこの度、2021年1,4月にも2回にわたって改正が行わることとなりました。
内容について詳しく見ていきましょう。

2:1. 派遣法改正|2021年1月の内容

2021年1月の派遣法改正では、大きく4つの改正がなされました。

>>先に派遣先企業がすべきことを見る

2:1:1. 派遣スタッフの雇入れ時における教育訓練の説明義務

派遣スタッフのキャリア形成に対する責務として、派遣会社は実施する教育訓練やキャリアコンサルティングの内容について、事前に内容を説明することが義務づけられました。

派遣スタッフは期間の定めがある労働契約となっているため、一つの企業でキャリアを積むことができません。
そのため派遣会社事業主は、派遣スタッフに積極的に教育訓練やキャリアコンサルティングを受けるよう働きかけることで、派遣スタッフのキャリア形成支援の充実化をはかる必要があるのです。
>>派遣先企業が押さえておきたい義務|時系列で確認

2:1:2. 派遣契約書の電磁的記録の容認

派遣会社と派遣先企業が交わす「労働者派遣契約」は、今まで書面記載が必須で電子化は認められていませんでした。

しかし今回の改正により電磁記録でのやりとりが可能となったため、いちいち書面を用意する必要がなくなりました。
派遣契約は数か月ごとに更新されることが多いので、その度に煩雑な作業をしなくてよいので企業間の契約がよりスムーズに行えるようになりました。

2:1:3. 日雇派遣契約解除に対しての休業手当支払い

派遣スタッフの契約が解除された場合(派遣スタッフの責に帰すべき事由以外)において、派遣会社は新たな就業機会の確保ができない場合であっても、派遣スタッフに対して休業手当の支払い等をする必要があります。

これは適切に運用すべき雇用管理を行うために、必要な措置であるという認識から改正に至りました。

>>派遣の休業補償/休業手当|基礎・計算方法・事例を詳しく解説

2:1:4. 派遣先における派遣スタッフからの苦情の処理

派遣スタッフより労働関係法上※の苦情があった場合に、派遣先企業も対応する義務が設けられました。

従来、派遣スタッフは派遣元である派遣会社にしか苦情を伝えることが出来ませんでした。

しかし実態として派遣スタッフから寄せられる苦情は、現場である派遣先企業に対するものも多いためにこの改正がなされました。
派遣先企業も同様に、苦情に対して誠実に対応すべきということです。

※労働基準法・労働安全衛生法・育児休業・介護休業等

>>派遣法改正|2021年1月の内容をもう一度見る

>>派遣社員がすぐ辞める理由|定着率を上げる5つの方法も紹介

2:2. 派遣法改正|2021年4月の内容

2021年4月の派遣法改正の内容も見ていきましょう。

>>先に派遣先企業がすべきことを見る

2:2:1. 雇用安定措置における派遣スタッフの希望取り扱い

2015年の法改正で雇用安定措置はすでに取り入れられている規定となりますが、今回の改正で雇用安定措置がより適切に行われるよう、派遣会社は派遣スタッフの意見を取り入れることが義務付けられました。

なお、その意見聴取結果は派遣会社管理台帳に記載しておく必要があります。

2:2:2. マージン率開示の原則化

マージンとは、派遣先企業が派遣会社に支払う紹介料・手数料のことです。

元々マージン率を開示していない派遣会社がほとんどでしたが、法改正以降はインターネット等で開示することが義務付けられました。
これにより派遣先企業や派遣スタッフは、その派遣会社が適正な価格で料金設定しているのかを客観的に見て、信頼のおける派遣会社を選ぶことが出来ます。

>>目次に戻る
>>派遣法改正|2021年4月の内容をもう一度見る

3. 派遣法改正(2021年)に合わせて企業がすべきこと

では、2021年の法改正にむけて企業が取るべき対策はなんでしょうか。
法改正には派遣会社が対応すべきことと、派遣先企業が対応すべきことがそれぞれあります。
ここでは派遣先企業が対応すべきことについて細かく見ていきたいと思います。

派遣法改正(2021年)に合わせて企業がすべきこと
雇用安定化措置

苦情の処理

マージン率等の情報開示

労働者派遣契約の電子化

3:1. 雇用安定化措置

これは通常の派遣期間である3年の労働契約を想定した規定で、1~3年未満の派遣見込み期間のスタッフに対しては努力義務となります。
派遣期間が終了したら、派遣会社は派遣スタッフの今後の雇用を見据えた以下の措置を講じます。

  • 派遣先での直接雇用の依頼
  • ほかの適切な派遣先の紹介
  • 派遣会社での無期雇用契約
  • その他雇用継続を図る措置

対応はあくまで派遣会社主導となりますが、派遣先企業は直接雇用の申し出を受ける可能性があるのできちんと対応の準備をしておきましょう。

3:2. 苦情の処理

従来、派遣スタッフの苦情処理は派遣会社が対応をしていましたが、法改正により派遣先企業も対応する必要が生じました。
すぐに対応が出来るよう以下の措置を講じておきましょう。

  • 苦情処理実施責任者の決定
  • 苦情を受けた場合、派遣先企業で解決できる事案は対応する
  • 苦情の解決に派遣会社との協力が必要な場合、双方連携して解決にあたる
  • 苦情を受けた内容は派遣先管理台帳に記録

3:3. マージン率等の情報開示

法改正により派遣会社のマージン率が開示されます。
派遣先企業としては、派遣スタッフを採用する際には各派遣会社のマージン率をインターネット等で確認しておきましょう。
また、マージン率のほかにも

  • 派遣スタッフの数
  • 派遣先企業の数
  • 教育訓練や業務に関して特記すべき事項

これらのポイントも優良な派遣会社を探すのに有効な指標となるので、併せて確認しましょう。

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マージン率・派遣の料金の仕組みを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>人材派遣の料金|仕組み、内訳、職種ごとの相場を解説

3:4. 労働者派遣契約の電子化

電子化を義務としたわけではないので、従来通り書面で契約締結する場合もありますが、派遣会社によっては電子書面での契約を求められるケースもあります。
それに備えて、派遣先企業としても社内周知や電子書面の保管方法などを徹底しておきましょう。

>>目次に戻る
>>派遣法改正|2021年1月の内容をもう一度見る
>>派遣法改正|2021年4月の内容をもう一度見る

4. 派遣法改正の歴史

続いて、労働者派遣法(以下:派遣法)の歴史をみていきましょう。

2015年
  • 派遣法の改定
  • 派遣法の改定
2007年
  • 製造派遣の派遣期間を3年に延長
2006年
  • 医療関係業務の一部で派遣解禁
2004年
  • 自由化業務の派遣期間を3年に延長
  • 政令26業務の派遣期間が無制限
2000年
  • 紹介予定派遣解禁
1999年
  • 派遣対象業務の拡大
1996年
  • 対象業務を26業務に拡大
1986年
  • 労働派遣法施行

もともと派遣法は1986年に制定された法律で、派遣法が制定される以前は派遣事業は認められていませんでした。
しかし、正社員以外にも新しい雇用形態を増やすことでより多くの雇用の機会を生み、沢山の人が就業出来る環境を整備することの重要性が唱えられた結果、派遣法制定に至りました。

まずは13業務について派遣が認められ、同年16業務に拡大されました。

1996年には対象業務が26業務へと広がり、1999年には業種にかかわらず原則自由となり、禁止する業務だけが指定されるといった方法に変更されました。当時の派遣期間は最長で1年でした。

2000年に入ると、派遣先企業が一定の派遣期間を終えた派遣スタッフを直接雇用する「紹介予定派遣」が始まり、雇用することを前提とした派遣事業が認められるようになりました。

2004年には自由化業務における派遣期間の延長製造業への派遣解禁専門家業務の派遣期間無制限化の3つが施行されました。
2006年一部の医療機関への派遣が解禁され、2007年には製造業の派遣期間が原則1年、最長3年となるなど年代を追うごとに派遣の領域は拡大を続けています。

2012年には派遣スタッフの権利保護を目的とした制定もされました。

そして2015年と2020年、派遣法に大幅な改正がされました。
次の章では、その2つの年代に行われた改正の内容について詳しく見ていきます。

5. 派遣法改正|2020年4月の内容

2020年4月法改正の目的は、派遣スタッフの『同一労働同一賃金』を目指すことです。
派遣先企業の直接雇用労働者と、派遣スタッフのあいだにある不合理な待遇格差を改善するために改定が行われました。

今までの法改正により派遣の対象業務の拡充といった措置はなされてきたものの、派遣スタッフの待遇に関しては問題が山積みでした。雇用形態が違うだけで、直接雇用の労働者と賃金の差があったり福利厚生の内容にも差がありました。
こうした派遣スタッフに対する差別的な扱いや不合理な待遇差は、根深い問題となっていたのです。

具体的にどう改善がなされたのか見ていきましょう。

※同一労働同一賃金について詳しく知りたい方は以下もご覧下さい。
>>【2020年施行】同一労働同一賃金とは|派遣先企業が押さえておきたいポイントの徹底解説

5:1. 派遣スタッフの待遇

法改正において、派遣会社は「派遣先均等・均衡方式」あるいは「労使協定方式」のいずれかから賃金の確保をすることが義務付けられました。

派遣スタッフの待遇
派遣先均等・均衡方式

派遣先企業の通常労働者との均等・均衡待遇
労使協定方式

一定の要件を満たす労使協定による待遇

①派遣先均等・均衡方式

派遣先企業で同様の職務に就いている従業員、そして派遣スタッフそれぞれの賃金を、なるべく均等となるようにバランスを考慮し決定する方式です。
実のところ派遣会社は、派遣先企業が従業員に賃金としていくら支払っているかの実態を知らない立場にあります。そうしたことが不均衡さを生むため、派遣先企業は従業員の賃金の開示を派遣会社に対して行うことが義務付けられました。その情報を総合的に加味し、均等・均衡のとれた賃金を決定します。

派遣先企業・派遣会社それぞれの役割
派遣先企業:派遣会社に比較対象者の待遇情報を開示する
派遣会社:派遣スタッフの待遇の検討・決定

②労使協定方式

派遣会社と派遣スタッフのあいだで、賃金と賃金以外の待遇を決定する方式です。
この労使協定方式は、派遣会社と派遣スタッフの過半数代表者(または過半数労働組合)で締結されます。労使協定で定めるのは以下6点です。

労使協定で定める事項

  • 労使協定の対象となる派遣スタッフの範囲
  • 賃金の決定方法(①、②のいずれか)
  • ① 派遣スタッフが従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同等以上の賃金額となるもの
    ② 派遣スタッフの職務内容、能力、成果、意欲または経験等の向上があった際、賃金が改善されるもの

  • 派遣スタッフの職務内容、能力、成果、意欲または経験等を公正に評価して賃金を決定する
  • 「労使協定の対象とならない待遇や賃金」を除く待遇の決定方法
  • 派遣スタッフに対して段階的・計画的な教育訓練を実施する
  • その他の事項
  • 参考:厚生労働省「労使協定方式」における点検・検討手順

重要なポイントとして、一般労働者の平均的な賃金と比較して、公正な賃金決定および成果・能力の評価をするということです。

ここでいう”一般労働者”とは、派遣先の事業所地域における同等の能力や経験をもつ人が、同等の業務に従事するときの平均的な賃金額を指します。

そのため、一般といえども職種、能力、地域など環境も含めた様々な要素が、決定材料となるのです。
なお、労使協定が適切な内容で定められてない場合または労使協定で定めた事項が守られてない場合には、この方式は適用されません。(派遣先均等・近郊方式を適用する)

5:2. 派遣スタッフへの説明義務

派遣スタッフの待遇が決定したら、派遣会社はそれを説明する義務が新たに加えられました。
派遣会社による派遣スタッフへの説明は、雇い入れ時・派遣時にそれぞれ行います。
以下、説明する項目です。

雇い入れ時・派遣時に説明する項目

  • 労働条件に関する事の明示
  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 休暇に関する事項
  • 賃金等に関する事項(退職手当及び臨時に支払われる賃金を除く)
  • 労使協定の対象である派遣スタッフか否か
  • 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項

不合理な待遇差解消に関する明示

  • 派遣先均等・均衡方式により講ずる措置
  • 労使協定方式により講ずる措置
  • 賃金決定の方法(職務内容、成果、意欲、能力、経験、その他)

    他にも、派遣スタッフから求められた際には派遣会社は、派遣スタッフと比較対象労働者の間にある待遇差の内容や理由を説明しなければなりません。

    なお、上記の説明義務を果たす時には文書の送付等ではなく、対面で資料等を活用しながら説明することが基本となります。
    抜け漏れなく、且つ派遣スタッフがきちんと理解できるよう説明することが重要です。

    5:3. 裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

    派遣スタッフと派遣会社もしくは派遣先企業においてトラブルが生じた際、なるべく早急に解決するため、行政による裁判外紛争解決手続が整備されることとなりました。

    そのため、派遣スタッフは裁判をせずとも簡単な手続きによって、迅速に雇用主や派遣先との紛争を解決出来るようになったのです。

    >>派遣法改正の歴史に戻る
    >>派遣法改正|2020年4月の内容をもう一度見る

    5:4. 派遣法改正(2020年)で企業がすべきこと

    上記は法改正の内容と派遣会社が対応することをメインにご紹介してきました。
    しかし、派遣先企業としてもこの法改正により講ずべき措置がいくつかあります。
    そちらをご紹介していきます。

    ①教育訓練|直雇用と同等の教育訓練の実施

    直接雇用の労働者と派遣スタッフが同一業務を行っている場合、職務を遂行するために必要な知識・技術を獲得するための教育訓練は、派遣スタッフにも不足なく行う必要があります。

    ②福利厚生|直雇用と同等の福利厚生施設の利用・利用配慮

    休憩室・更衣室・給食施設といった事業所内における福利厚生施設は、派遣スタッフも直接雇用の労働者と同等に利用が可能となりました。
    派遣スタッフに対して福利厚生施設を使わせないといった差別的な扱いは行うべきでありません。

    また、施設はもちろん福利厚生制度も同等に利用できるような配慮が必要です。
    派遣スタッフにも支給要件を満たしている場合、健康診断に伴う勤務免除・有給保障、慶弔休暇、転勤者用社宅に関しての利用・付与を配慮しなければなりません。

    ③情報提供|派遣会社への情報提供の配慮

    派遣会社から賃金に関わる情報以外の情報提供を求められた際には、対応に配慮することが義務付けられました。
    待遇改善等のために、派遣先企業の労働者と派遣スタッフの待遇状況を調べたいと派遣会社から要請があれば、対応しなければなりません。

    ④派遣料金|派遣料金交渉についての配慮

    派遣会社から料金交渉をされた際、配慮のうえ適切に応じる必要があります。
    労使協定による待遇または均等・均衡な待遇確保に必要な額を考慮した上で、適正な派遣料金を提示しましょう。

    ⑤派遣先管理台帳|派遣先管理台帳の追加事項

    以下の事項を、派遣スタッフ一人につき派遣先管理台帳に追加記載する必要があります。

    • 協定対象派遣スタッフである・ない
    • 従事する業務に対する派遣スタッフの責任の程度

    >>派遣法改正の歴史に戻る
    >>派遣法改正|2020年4月の内容をもう一度見る

    6. 派遣法改正|2015年9月の内容

    6:1. キャリアアップ措置

    派遣会社は派遣スタッフのキャリアアップを目的に、教育訓練を実施することが義務となりました。
    また、希望する派遣スタッフはキャリア・コンサルティングを受けることも出来ます。

    派遣先企業としても、派遣会社から要請があった際には派遣スタッフに対して教育訓練が受けられるよう協力する必要があります。

    6:2. 労働者派遣の期間制限の見直し

    2015年に改正された労働者派遣法により、派遣業務のすべてに期間制限が設けられ、上限3年というルールのもと運用されるようになりました。
    注意が必要なのは、期間制限における『抵触日』です。

    派遣スタッフを雇う場合、基本的に”派遣期間の制限”があり、ずっと同じ職場で働かせることはできません。
    これは職務内容に関わらず最長3年と定められています。『抵触日』とは、その”派遣期間の制限”を過ぎた最初の日のことを指します。
    言い換えると、「法律で禁止されていることに抵触してしまう日」にもなります。

    なお、この抵触日が設けられている背景には、派遣の働き方や利用があくまで臨時的・一時的なものであるという考えに則っており、常用代替の防止や派遣スタッフの雇用安定・キャリアアップといった目的が添えられています。

    >>人材派遣の抵触日とは|基礎・事例・注意点・Q&Aをご紹介

    ■抵触日の種類

    抵触日には2種類の考え方があります。
    1つが「事業所単位」、もう1つが「個人単位」です。
    それぞれの違いをご説明していきます。

    ①「事業所単位」

    事業所単位の期間制限

    事業所単位の期間制限とは、「ひとつの事業所で派遣スタッフの雇用を継続していられる派遣期間が最長3年」であることを意味します。
    しかし、条件付きで延長することも可能です。それは、派遣先の過半数労働組合に意見聴取をすることです。

    意見聴取することで、派遣期間を3年以内(1回につき)延長することができます。
    ただし、同一の派遣スタッフを同一組織で継続して受け入れることはできず、新たに別の派遣スタッフと契約しなければなりません。

    Check!意見聴取は、抵触日の1か月前までに行う必要があります。

    ②「個人単位」

    個人単位の期間制限

    個人単位の期間制限とは、「1人の派遣スタッフが、同じ事業所の1つの組織で働くことができる派遣期間」のことです。
    ちなみに、この「組織単位」とは「会社」ではなく「課、グループ」のことを指します。

    Check!例えば「株式会社abc商事 千葉支店 人事課」に派遣されていたスタッフが、3年後に「株式会社abc商事 千葉支店 経理課」に派遣されることは可能です。

    なお、「事業所単位」の派遣期間制限と「個人単位」の派遣期間制限、優先されるのはどちらでしょうか。答えは「事業所単位」の派遣期間制限です。

    そのため、派遣スタッフはもしも「個人単位」の派遣期間制限が残っていたとしても、「事業所」つまり派遣先企業の派遣期間制限を無視して働き続けることはできません。

    ■抵触日の通知義務

    では、抵触日は一体誰がどのように管理し通知すればよいのでしょうか。
    ここも「事業所単位」「個人単位」でそれぞれ異なるので見ていきましょう。

    ①「事業所単位」

    あくまで派遣会社ではなく、派遣先企業が管理することになります。
    派遣契約を締結する際には、あらかじめ派遣会社に対していつまで人材派遣の受け入れが可能なのかを通知しなければなりません。

    ②「個人単位」

    個々の派遣スタッフの抵触日なので、派遣先企業・派遣会社の両者が管理することになります。
    派遣先企業は、抵触日の期限がリセットされるまでは期間派遣先管理台帳でしっかりと管理をし、派遣会社との契約時に派遣スタッフの抵触日についても情報を共有しておくようにしましょう。

    以上のように、「事業所」「個人」で通知・管理義務がどこにあるのかは異なります。
    「事業所単位」の抵触日については、契約時に派遣先企業が派遣会社に通知しなければならないので、しっかり把握しておきましょう。

    ■派遣期間の制限を受けない人

    例外として、制限を受けない方もいます。

    派遣期間の制限を受けない人
    派遣会社と無期雇用契約を締結している派遣スタッフ
    60歳以上の派遣スタッフ
    派遣先の社員に定められた所定労働日数の半数以下、かつ月に10日以下の雇用契約を結ぶ派遣スタッフ
    産前産後休暇・育児休暇・介護休暇を取得している社員の代替業務を担う派遣スタッフ
    期間が定められている「有期プロジェクト」を担当する派遣スタッフ

    以上の項目に該当する方は、期間の制限がありません。
    これらの方は、派遣会社と無期雇用契約を締結しているため雇用が安定していたり、安定雇用の代替にならないことが前提とした業務となるためです。

    6:3. 派遣事業許可制への一本化

    いままでは派遣事業者は事業内容によって許可制あるいは届け出制としていました。
    しかし派遣事業の健全化を目的とし、法改正後は新設された許可基準によって派遣事業が許可制に一本化されました。

    この許可基準には、前述の派遣スタッフへのキャリア形成支援なども追加されています。
    これにより派遣スタッフは全ての派遣会社でキャリア形成支援を受けれるようになり、派遣先企業としては安全・法令順守の派遣会社から派遣スタッフを受け入れることが出来ます。

    6:4. 均衡待遇の推進

    派遣スタッフと派遣先起業の直雇用社員との間に生じる待遇格差を解消するため、派遣会社と派遣先にそれぞれ新たな義務が課せられました。

    ①派遣会社としての対応

    派遣スタッフより求めがあった際には

    • 教育訓練の実施
    • 賃金水準の決定
    • 福利厚生の実施

    これらについて、待遇の均衡を実現するために考慮した内容を説明する必要があります。

    ②派遣先企業としての対応

    派遣会社から求めがあった際には、以下いずれかの情報提供をする配慮義務があります。

    • 派遣スタッフと同等業務に従事する派遣先労働者の賃金水準
    • 派遣スタッフと同等業務に従事する一般の労働者の賃金相場
    • 派遣スタッフと同等業務に従事する派遣先労働者の募集時における求人条件

    派遣スタッフからの要請に応じて、派遣会社と派遣先企業がそれぞれ連携して対応しなければなりません。

    6:5. 労働契約申込みみなし制度

    派遣先企業が以下の違法派遣を知りながら派遣スタッフを受け入れた際、その時点において派遣先企業が派遣スタッフに対し、派遣会社における労働条件と同等の労働条件に関する契約の申込みをしたとみなされる制度です。

    労働契約申込みみなし制度|違法行為

    • 派遣スタッフを禁止業務に従事させる
    • 期間制限に違反し派遣を受け入れる
    • 無許可の派遣会社より労働者派遣を受け入れる
    • いわゆる偽装請負

    労働契約申込みみなし制度について詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。

    6:6. 派遣法改正(2015年)で企業がすべきこと

    上記は法改正の内容と派遣会社が対応することをメインにご紹介してきました。
    しかし、派遣先企業としてもこの法改正により講ずべき措置がいくつかあります。
    そちらをご紹介していきます。

    ①雇用契約内容の確認

    今受け入れている派遣スタッフにおける、雇用契約期間の定めの有・無を確認しましょう。
    今回の改正により、雇用契約の内容によって3年ルールの適用内容が変わってきます。

    雇用契約|有期の場合
    3年毎の派遣スタッフの交代を行う必要がある

    雇用契約|無期の場合
    3年毎に派遣スタッフの交代を行う必要がない

    このように、派遣を開始してから3年以降の対応が変わってくるため、今受け入れている派遣スタッフの雇用契約内容はきちんと確認しましょう。

    ②雇用契約が有期の場合、交代や配置の検討

    上記の結果、派遣スタッフとの雇用契約が有期の場合、派遣スタッフの配置転換や交代を考えなければなりません。

    派遣法の改正により、有期契約の場合同じ部署で3年以上派遣を継続したい時は派遣スタッフの交代が義務となりました。
    もしも継続して勤務してもらいたい派遣スタッフがいる場合には、直接雇用を検討する義務があります。

    そうではない場合には、元々いた派遣スタッフは別の部署等に配置換えを行い、新たに派遣スタッフを交代しましょう。

    今まで法定26業務にあたる派遣先企業は無期限で派遣を受け入れることが可能でした。
    しかし、今回の改正で有期雇用契約の場合の期間の定めが厳しくなりました。

    ③待遇に関する情報提供の配慮

    前述のとおり、派遣先の直雇用社員と派遣スタッフの間の待遇の均衡を実現するため、派遣会社と派遣先にそれぞれ新たな義務が課せられました。

    派遣会社から求めがあった際には、以下いずれかの情報提供をする配慮義務があります。

    • 派遣スタッフと同等業務に従事する派遣先労働者の賃金水準
    • 派遣スタッフと同等業務に従事する一般の労働者の賃金相場
    • 派遣スタッフと同等業務に従事する派遣先労働者の募集時における求人条件

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    7. まとめ

    この記事では、2021年のほかにも2020年・2015年と歴史を遡り派遣法改正の内容をご紹介しました。
    企業に求められる対応もご紹介しているので、派遣の適正運用が出来ているかをしっかり見直す機会にしましょう。

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