昨今、医師の人手不足が深刻な状況のなか、スポットで業務をお願いしたいと思う医療関係者の方も多いでしょう。

選択肢の一つとして「派遣」がありますが、はたして医師の派遣は認められているのでしょうか。
派遣法によると、医師をはじめとする歯科医師や薬剤師といった医療関係者の派遣は原則禁止とされています。

しかし、実際職場で起こりうる様々なシチュエーションを踏まえ、一部禁止の例外として認められるケースがあるのも事実です。

この記事では、医師の派遣が禁止されている理由や例外ケース、違法とならない派遣会社の選び方をご紹介していきます。


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1. 医師の派遣は禁止されているのか

1:1. 医療従事者の派遣に関する法律

ここではまず医療従事者の派遣に関して、法律で記載された文書をご紹介します。

まず法律の派遣禁止業務リストに、「医療関係の業務」と記載がある通り、原則として医療従事者の派遣就業は禁じられています。

派遣が禁じられてる5つの業種

  • 港湾運送業務
  • 建設業務
  • 警備業法
  • 医療関係の業務 (病院等で行われる看護補助や介護の業務を除く)
  • その他(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士等)

関連記事: 労働者派遣が禁止されている業務一覧|例外や禁止の理由も解説

「医療関係の業務」に関して、以下禁止事項を記した文書の抜粋となります。

◆病院・診療所等における医療関連業務の禁止◆

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 臨床検査技師
  • 歯科技工士
  • 理学療法士
  • 看護師
  • 准看護師
  • 保健師
  • 助産師
  • 作業療法士
  • 臨床工学技士
  • 視能訓練士
  • 歯科衛生士
  • 救急救命士
  • 義肢装具士
  • 診療放射線技師
  • 栄養士
  • 言語聴覚士

等の業務

参考:一般社団法人 日本人材派遣協会「労働者派遣の禁止業務」

1:2. 医師派遣が禁止されている理由

ではなぜ、医師の派遣は禁止されているのでしょうか。

医療は、人命にかかわる非常に重要かつ慎重さが求められる仕事です。
医師を中心として、看護師や薬剤師、各分野の専門職らがチームを組んで一丸となって治療に取り組みます。

患者に安心・安全で適正な医療を提供するためには、チームメンバーの能力や治療方針を熟知し、十分な意思疎通のもとで業務を遂行することが最も重要となります。

しかしながら、派遣会社からスタッフが派遣されるアウトソーシングの場合、先に述べた「チーム医療」に支障が生じてしまう可能性があります。

特に医師の場合はチームの司令塔となって意思決定を下したり、指揮命令をすることも多々あります。
そのため、派遣は現実的に難しいということとなります。

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2. 医師の派遣|違法ではないケース

前章でご紹介した通り、医師の派遣は原則禁止ですが、違法ではないケースもあります。
以下の4つに該当する派遣であれば、違法になりません。

2:1. 紹介予定派遣(TTP)である

一般的に医師、歯科医師、薬剤師、看護師・准看護師、助産師、保健婦、栄養士などの医療従事者は派遣が認められていません。

しかし、正社員を前提とした紹介予定派遣については許可されています。

紹介予定派遣とは、最大6ヵ月派遣として働き、採用企業と労働者が双方合意の上で正社員にするという雇用形態です。
受入側の病院・医療施設のメリットとしては、労働者のスキルや知識、働きぶりをよく見たうえで採用の判断が出来ます。

労働者側としても、職場の雰囲気や人間関係を知ったうえで正社員の判断が出来るので、雇用後のミスマッチを減らすことができます。

万が一、正社員としての受け入れを認めなければ、派遣期間の満了をもって契約終了といった対応をとることも可能です。

参考:『紹介予定派遣』とは|人事担当者なら知っておくべき基礎知識

2:2. 病院、診療所以外の施設への派遣である

病院や診療所以外の施設であれば、医師であっても人材派遣を利用することが可能です。

施設ごとに派遣が許可されているかどうかは、下記の表を参考にしてください。

医療機関である(派遣NG) 医療機関ではない(派遣OK)
  • 病院
  • クリニック
  • 介護老人保健施設(訪問入浴介護・訪問予防入浴介護を除く)
  • 助産所
  • 患者宅(訪問看護)
  • 有料老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 社会福祉施設(保護施設 児童福祉施設 障害者施設など)
  • デイサービス
  • 保育園

なお例外として、以下のケースであれば病院・クリニックなどの医療機関への派遣が可能です。

病院・クリニックなどでも医師派遣が可能なケース

3~6ヶ月の派遣終業後に、直接雇用に切り替わることを前提とした場合

医療機関で働く医師が産休・育休取得時した際の、助っ人として雇う場合

2:3. 産休・育休・介護休業の代替業務である

近年、女性の社会進出や産休・育休制度も拡充しつつあるので、以前に比べ職場復帰する医師も増えてはいますが、労働力がまだ不足しているのは事実です。

こうした背景も踏まえ、労働者派遣法では産休・育休・介護休業の代替労働力として医師の派遣を認めています。

2:4. 特定エリアでの医療業務

『特定エリア』とは、以下のいずれかに該当することをいいます。

以下2つの詳細について、厚生労働省から紹介されている文書を詳しくご紹介します。

2:4:1. 離島などのへき地

  1. 離島振興法第2条第1項により離島振興対策実施地域として指定された離島 の区域
  2. 奄美群島振興開発特別措置法第1条に規定する奄美群島の区域
  3. 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律 第2条第1項に規定する辺地
  4. 山村振興法第7条第1項により指定された振興山村の地域
  5. 小笠原諸島振興開発特別措置法第4条第1項に規定する小笠原諸島の地域
  6. 過疎地域自立促進特別措置法第2条第1項に規定する過疎地域
  7. 沖縄振興特別措置法第3条第3号に規定する離島の地域

2:4:2. 厚生労働省令で定められた特定の場所

  1. 都道府県が医療法第30条の23第1項の協議を経て派遣労働者を従事させる必要があると認めた病院又は診療所で、厚生労働大臣が定めるもの(現在は無し)
  2. 1の病院等に係る患者の居宅

Check!
なお、人材派遣・紹介会社の各社ホームページで医師の求人を取り扱っていますが、「派遣」という言葉は用いられず「非常勤」という言葉で表現されることが多いようです。

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3. 医療従事者派遣の歴史

続いては、医療従事者派遣の歴史を紐解いていきます。
医療従事者の派遣の禁止に関する内容は、歴史をさかのぼるとその理由が明らかになってきます。

早速ご紹介していきます。

1986年|労働者派遣法が施行

派遣法(労働者派遣法)は、1986年に初めて制定されました。
以降、派遣スタッフの権利を保護すると同時に、労働者派遣事業における適切な運用を確保するために、都度改正が加えられてきました。

1999年|ネガティブリストへ病院・診療所での医療業務が追加

それまでの間、派遣は一部の職種のみに許可される形式でしたが、1999年の法改正により派遣を許可する範囲が一気に拡大しました。

しかし同時に、”ネガティブリスト”といって「次の職種以外の派遣は許可する」といった派遣NG一覧が作成されたのです。

その中に病院・診療所での医療業務も含まれていました。以下がネガティブリストです。

ネガティブリスト(1999年施行)
湾港運送業務
建設業務
警備業務
病院・診療所での医療業務
弁護士・公認会計士・税理士などの士業
建築士事務所の管理建築士など、他の法令で禁止されている業務
人事労務関係で労使協議の際、経営者側の直接当事者として行う業務

これら以外の派遣就業は許可される。

2006年~現在|医療関係業務の一部解禁

しかしながら2006年の法改正により、医療関係業務の一部派遣は解禁されました。

未だにインターネット上には、1999年のネガティブリストのみがクローズアップされた形で掲載された記事も散見されます。
そのため、”医療関係業務の派遣は違法”といった誤認を抱いてしまう方が後を絶たないのです。

派遣法改正については、以下の記事でも詳しく紹介しているので参考にして下さい。

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4. 違法とならない派遣会社の選び方

この章では、違法にならない安全な派遣会社を選ぶ方法をご紹介します。

4:1. 「厚生労働省許可番号」が提示されている

違法にならない派遣会社を選ぶには、まず厚生労働省許可番号が提示されているかをきちんと確認し、派遣会社を選ぶことが重要です。

厚生労働省許可番号は、ホームページ等に「派●●-●●●●●●」といった”派”からはじまる2・6桁桁の数字が提示されています。

そもそも厚生労働省の許可がないと労働者派遣事業を行うことは出来ないため、許可番号を持たない派遣会社は違法となります。

「厚生労働省許可番号」取得について
厚生労働省による派遣業の許可を得るには、厚生労働省が定めた何十にも及ぶ厳しい基準を全てクリアしなければなりません。

また、免許には有効期限があるため更新し続けるにあたり5年毎(初回は3年後)に同様の基準をクリアしなければなりません。

万が一、ひとたび違法行為が発覚した場合には、即座に免許が取り消されるといった厳しい罰則もあります。
厚生労働省の摘発は非常に厳格で、平成28年にも複数派遣会社が取消・事業廃止が命じられました。

参考:
厚生労働省「一般労働者派遣事業の許可の要件」
厚生労働省「労働者派遣事業の許可を取消し、特定労働者派遣事業の事業廃止を命じました」

Check!
なお、法令遵守はもちろん派遣社員のキャリア形成支援・労働環境の整備など、厚生労働省で定められてる一定基準をきちんと満たした派遣会社のことを『優良派遣事業者』といいます。

『優良派遣事業者』もまた、より良い派遣会社を選ぶうえでの指針となります。
詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

4:2. 株式上場して基盤が安定している

厚生労働省許可の会社に加えて、東証・JASDAQといった株式上場した会社を選ぶとよいでしょう。

上場するにあたり企業は財務・経営状況を世間に公表しなければなりません。
そのため、常に株主に見られる対象となります。よって、”上場企業は一定の社会的信用性がある”ことを示すために、不正行為を行いにくくなります。

株式上場しているかどうかは、会社としての信用性を見る分かりやすい指標です。

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5. まとめ

この記事では、医師の派遣が禁止されている理由や例外ケース、違法とならない派遣会社の選び方をご紹介しました。

なお、文中でご紹介させていただいた派遣コネクトは、貴社の採用に関する課題をヒアリングし、条件に合わせてコーディネーターが最適な派遣会社を提案するサービスです。

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