近年、業務の効率化やコスト削減などを目的に、一部の業務をアウトソーシングする企業が増えています。
人員不足などもあいまって、自社でも導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、アウトソーシングの基礎知識派遣との違いアウトソーシングのメリット・デメリット、向いている業務まで詳しく解説していきます。

1. アウトソーシングとは

1:1. 基礎知識

アウトソーシング

アウトソーシングとは、業務の一部を外部に発注する経営手法を言います。
外部から人材・サービスを調達し、社員の代わりに業務を遂行してもらうということです。

かつては事務系の仕事が多かったのですが、他にも商品の梱包や発送業務、人事業務、経理仕訳、WEBサイト・広告制作など年々その領域は拡大傾向にあります。
アウトソーシングは、特定の業務をその分野に特化した専門業者に発注することとなるため、コスト削減だけではなく、業務の品質もまた高められます。

特に、最近ではIT・情報分野のアウトソーシングの需要が高まっています。このことは、情報技術の急速な発達に社内のリソースでは技術習得が追いつかない、または企業の人手不足といった事情が垣間見えます。

アウトソーシングは結果として、自社の社員をより付加価値の高いコア業務に充てられるため、社員の育成ひいては自社の発展にも繋がるのです。

1:2. 需要の背景

BPO成長率

アウトソーシングの需要の高まりは、数字にも表れています。

IDC Japanが2019年4月に発表した調査結果によると、国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場は、2018年が前年比+4.7%の7691億円、2018年~2023年における年間平均成長率は3.5%、そして2023年のBPO市場規模は9147億円と年々増加傾向にあると予測しています。

そうした背景には、顧客のニーズが多様化したことや多角化経営、少子高齢化に伴う労働人口減少、それによる企業の人手不足などが考えられます。

アウトソーシング需要の背景
顧客ニーズの多様化
多角化経営
労働人口の減少
企業の人手不足

2. 派遣との違い

アウトソーシングと派遣の違い

外部から人材を調達する方法として「人材派遣」と「アウトソーシング」が比較されることがあります。
違いや仕組みがわからず混同する人も少なくありません。
ここでは両者の違いを見てみましょう。違いは主に3つあります。

アウトソーシングと派遣の違い
業務指示の仕方
業務の進め方
対価の支払われ方

2:1. 業務指示の仕方

アウトソーシングの場合は、業務に関する指示から成果に至るまで、すべてアウトソーシング側の会社に責任が課されます。
人員配置やロードマップ作成や管理まで、大小を問わず指揮命令系統はすべてアウトソーシングの会社が代行するのです。

一方で派遣の場合、派遣先企業で指揮命令者を立て直接指示を行います。
また派遣スタッフに対する勤怠管理などは雇用元である派遣会社が責任を負います。

2:2. 業務の進め方

アウトソーシングは、業務自体を丸ごとアウトソーシング側の会社に委託します。
基本的にはその会社が自社社員を配置し業務を全て行い成果の責任を負いますが、時に業務管理や指示出しのために一時的に委託元会社の社員が参画する場合もあります。

派遣は基本的に、人員が足りない業務が発生したタイミングで派遣会社に依頼をし、適切なスキルを兼ね揃えた人材を調達してもらえるサービスです。
派遣先企業と派遣スタッフの間で直接の雇用関係はありませんが、就業時間の管理や業務をきちんと行えているかの管理はする必要があります。

2:3. 対価の支払われ方

アウトソーシングだと、1業務あるいは何かしらの成果につき対価を支払うという形です。
そのため、アウトソーシング側の会社の社員がいくら働いたとしても一定の対価しか発生しません。

一方、派遣は雇用契約なので派遣スタッフの労働に対して対価が発生します。
働いた日数・時間に応じた賃金のほか、時間外手当なども対価として計上されます。

3. アウトソーシングのメリット

アウトソーシングのメリット
業務効率化でスピード・品質のアップ
会社組織をスリム化することができる
企業競争力の強化につながる
コスト削減ができる
社員がコア業務に専念できる

3:1. 業務効率化でスピード・品質のアップ

アウトソーシングは外部の専門家に任せることですが、専門家には長年積んだ経験から培った、効率性や品質、スピード感が兼ね揃えられています。

自社社員が0から知識を習得し実践するよりも、はるかに効率的でスピード感を持って業務を遂行してくれるでしょう。
当然ながら、高い品質も維持してくれます。予めリスクを回避し、コツをつかんだうえで最短で業務を遂行する術を長年の経験から心得ているのです。

その業種に関する知識も豊富なので、例えば流れのはやいIT関連の業務をアウトソーシングする会社ならば、自社社員以上にITに関する深い知識があるでしょう。

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面倒なものは自社で抱え込まず、アウトソーシングした方が結果として、企業のより良いパフォーマンスにつながります。

3:2. 会社組織をスリム化することができる

アウトソーシングは企業再構築のツールにもなります。

事業が拡大していくなかで、組織が肥大化し管理が追いつかなくなってしまうことがあります。肥大化させない方法として、間接部門を分社し、アウトソーシングを入れるという手法があるのです。
結果親会社は身軽となり人員を最適配置できるのと、コスト削減にもつながります。

一方で分社した側は、親会社をメインクライアントとしつつ独立した企業として存続するために、自社でクライアント獲得努力をする必要が発生します。
ある分野に特化した製品・サービス提供をし、おのずと自社の技術力やノウハウを磨き、結果、専門性の高い組織と発展していくのです。
大手企業などは特に、分社化しているケースは多く存在します。

親会社と子会社が互いに支え・支えられ合う関係は、企業の永続や発展へとつながるのです。

3:3. 企業競争力の強化につながる

企業は、ある特定の市場で優位に立ってこそ必要とされ市場で長く生き残ることができます。
そして、優位に立つためには「コア・コンピタンス」を持つことが非常に重要です。

コア・コンピタンスとは、競合他社を圧倒的に上回る利益を提供できる、いわばその企業の核となる能力のことです。
核となる能力は独自のスキルやノウハウであり、その能力を培った社員を育成する必要があります。

そこで、社員に付加価値が高くコア・コンピタンスに直結する業務に集中できるよう、それ以外の業務は既に経験・知識がある外部の専門業者へアウトソーシングするという考え方につながるのです。

アウトソーシングを効果的に活用できれば、企業のコア・コンピタンスは飛躍的にアップし、市場での価値を維持・向上できます。

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例えば、立ち上がったばかりのベンチャー企業が急成長を目指す際、少ない社員で経理・総務・法務といったバックオフィス業務に人員を割くことは非合理的です。
これらの業務をアウトソーシングし、コア業務に集中させることで企業としての持久力がアップします。

3:4. コスト削減ができる

コストダウン

難易度が低いまたは専門性のある業務を外部に委託することで、人を教育したり雇うために必要なコスト・手間が省けます。
結果、企業全体のコスト削減につながるのです。
また、社員が本来業務と関係のない業務をかけもちで行うことで発生する残業代の削減もまた期待できます。

なお、人材育成はアウトソーシングの場合、そのアウトソーシング企業側で行うので、育成費もかかりません。

3:5. 社員がコア業務に専念できる

本来業務以外のものが発生することで、元々ある業務に避ける時間が減ってしまうことはよくあります。アウトソーシングを行えば社員の工数が削減され、本来業務に専念できる環境が整備できます。

本来業務にあてられる時間が増えることで、社員は更に高い知識を身につけられるので人材育成にも繋がるでしょう。

4. アウトソーシングのデメリット

アウトソーシングのデメリット
社内にノウハウが蓄積されない
適正コストがわかりづらい
情報漏洩の恐れがある

4:1. 社内にノウハウが蓄積されない

アウトソーシングは、外部に業務を発注することでコスト・時間等を節約できる利点があります。
しかし反面、いつまでたっても自社内に技術やノウハウが蓄積されないことにもなります。

外部に委託してよい業務であるにせよ、自社内である程度の情報は把握しておくようにしましょう。
万が一、アウトソーシング先の企業がサービスの撤退したり倒産などをした際に、自社内では何もできないということが無いように備えておくことが重要です。

4:2. 適正コストがわかりづらい

コスト削減を目的にアウトソーシングしたにもかかわらず、逆にコストが高まる危険性もあります。

例えば、自社で既に効率化出来ていたものをアウトソーシングすると、かえって効率が悪くなることもあります。
また、アウトソーシングの相場がわからず高い費用で委託した結果、コストがかさんでしまうケースもあります。

4:3. 情報漏洩のリスクがある

アウトソーシングの領域が広がったことにより、企業機密や個人情報を扱う機会も増えてきています。
それは同時に、このような情報が漏洩するといったリスクが高まる事でもあります。

もちろん、受託企業がセキュリティ対策を徹底していたとしても、従業員のモラルが保たれてなければ可能性は0ではありません。
近年、アウトソーシングした会社からの情報漏洩のニュースが度々話題にもなっています。

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万が一情報が流出した場合、委託元の企業はアウトソーシング会社とともに責任を負う可能性があります。
その場合、個人情報を流出されてしまった被害者に対する保証も行わなければなりません。

5. アウトソーシングに最適な業務

5:1. IT関連

IT業界は近年急速な発展により、業界の規模拡大にIT人材の育成や供給が追いついていない状態にあります。

しかしIT人材育成には時間と労力がかかるだけでなく、教育する人の知識や経験が必要になります。

そうした事情から、IT関連の業務はほぼすべてをアウトソーシングしている企業が多いです。また、IT知識をもつ人材はいるが開発規模の大きさから人材供給が追いつかない場合に、企画は自社で行い開発のみをアウトソーシングするといったケースもあります。

5:2. 人事

人事は募集・選考・採用・研修とそれぞれのフェーズにおいて非常に時間と手間がかかります。
特に募集・選考フェーズは大量のエントリーシートを見たり候補者へのフォローなどに特に時間がかかります。

それに人を見極める作業となるので、経験もまた求められます。
このような人事業務を外部の専門家に委託すれば、手間をかけずに良い人材を確保できます。

Check!
「採用」はアウトソーシングしやすい部類ですが、全てを丸投げしてしまうと企業が思う人物像とアウトソーシング側が採用した人材が合わないというケースも起こりかねません。
出来れば採用プロセスを分業化し、1・2次審査をアウトソーシング、最終面接は自社で対応するといったように対策を取りましょう。

5:3. 経理・法務・事務全般

データ入力といった単純作業が多く、月・年単位で決まった繁忙期がある経理や法務、事務全般業務はアウトソーシングに向いています。
アウトソーシングすることで業務の効率化や人件費の最適化が見込めるでしょう。

また、福利厚生といった社員向けサービスは自社で用意するより外部に委託した方が安くメニューが豊富である場合が多く、近年福利厚生サービスを丸ごと外注している企業が増加しています。

5:4. コールセンター

自社で商品を販促していたり、お客からの問い合わせ対応に大量な人員が必要な場合、コールセンターが必要となる業界・業種があります。

しかし、コールセンターには場所や設備の他、人材確保が必要であり膨大な費用がかかります。また、人材育成にも時間がかかるでしょう。

コールセンターを専門にしている会社に委託をすれば、必要な場所や設備・人材がすべてそろった状態でお願いが出来るので、無駄な時間やコストがかかりません。

6. まとめ

この記事では、アウトソーシングの基礎知識派遣との違いアウトソーシングのメリット・デメリット、向いている業務などをご紹介させていただきました。

これからアウトソーシングの導入を検討している企業様は是非参考にしてみてはいかがでしょうか。

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